瀬戸内食に関するアンケート調査結果

瀬戸内地域の自治体や観光に関わる団体を中心に、瀬戸内食に関するアンケート調査を行いました。回収率は42.3%と、予想をうわまわるご回答をいただきました。ご協力をいただきました皆様に、心からお礼申し上げます。

アンケート調査の結果の一部をご紹介します。

目  的 瀬戸内沿岸地域における「瀬戸内食」
     についての意識調査
期  間 2022年10月23日~
対象地域 瀬戸内海沿岸に面する市町村
対象団体 観光協会および観光に関連する団体
アンケート方法 書面による郵送アンケート

1.アンケートの内容

問1. お住まいの地域(市町村)に、「瀬戸内食」といえる地域固有の伝統的な郷土食がありますか。

問2.瀬戸内地域であることを意識したご当地食(B級グルメなど)を新たに開発されていますか。

問3. お住まいの地域(市町村)に、健康との関連を意識した郷土食・ご当地食はありますか。        

問4.  御所属の団体、自治体での取り組みについてお聞かせください。    

※1(ほとんどない)~10(とてもある)の10段階で、「関心度」および「現状」について問うものです。
   1)   食を通じたツーリズム(観光振興)
   2)   地域固有の食(伝統食)の伝承
   3)   ご当地食の開発・PR
   4)   フードロスへの取り組み
   5)   地産地消の取り組み
   6)   食を通じた健康増進
   7)   「瀬戸内食」としてのブランディング

問5. 瀬戸内地域のなかで、他の地域(市町村)と連携して取り組む食関連事業を実施されていますか。

※ 当アンケートへの回答は、自治体や団体としての総意をとりまとめたものではなく、回答いただく方個人の意見として記入いただいたものです。

2.結果の概要

  アンケート回答率 42.3%  
  (回答件数 58団体 /依頼件数 137団体)

 

2-1.「瀬戸内食」及び郷土食・ご当地食について

•アンケート全体の回収率は42.3%でした。都道府県別の回収率をみると、岡山県、香川県、広島県では半数を超えた回答があり、関心の高さがうかがえました。一方で、「瀬戸内地域に該当しないため、回答を控えます」というご返信をいただいた地域もありました。

 (瀬戸内海の範囲について、当研究会では瀬戸内海環境保全特別措置法の規定を参照しています。)

•「瀬戸内食」といえる郷土食があるという回答が6割を超え、魚介類を活用した料理(寿司類や丼もの、干物・酢漬けなどの保存食など)、地域の農作物を活用した料理(煮物類、汁物、菓子類、など) が例として挙げられました。

•一方で、「瀬戸内食の定義が分からない」という意見もみられ、「瀬戸内食」または「瀬戸内海食」という言葉が通常は使われていない/意識されていない、という状況もうかがえました。

•郷土食と瀬戸内海地域であることとのつながりについては、その程度が判断しにくいものがあるようです。

•健康との関連を意識した郷土食・ご当地食があるという回答は約3割に満たず、分からないという回答も多くみられました。

2-2.食関連の取り組みへの関心と現状

各項目について、1(ほとんどない)~ 10 (とてもある) の10段階で回答いただき、それらの回答の平均点数を示しています。

2-3.食を通じた観光振興、フードロスへの取り組みに関する状況

 

•食関連の取り組みを7つの項目別に、関心度と現状について0~10点で回答をいただいた平均値を見ると、すべての項目で関心度は現状の達成度より高いことが分かりました。

•「食を通じた観光振興」への関心度に10点満点をつけた団体数は22と多く、関心度に7点以上をつけた団体は約9割にのぼりました。(この結果は、食を通じた観光振興に関心の高い団体様がよりアンケートにご回答いただいている、という状況を示しているとも言えます。)

•一方で、「瀬戸内食」としてのブランディングについては、関心・現状ともに、7項目のなかで最も低いということも明らかになりました。2-1の結果でも見られたように、「瀬戸内食」について未だよく分かっていない(その必要性が分からない)という背景も一因であると考察されます。

•フードロスへの取り組みに関しては、関心・現状ともに他の項目よりも低い傾向がみられました。

•「ご当地食を開発」と「食を通じた観光振興」の現状の点数(0-10点、自己評価)に相関がみられ(R=0.53)、食を通じた観光振興に取り組まれている団体ではご当地食を開発されていることが多いという実態がうかがえます。(結果 2-3より)

•同様に、「地産地消の取組み」と「フードロスへの対応」とのゆるやかな相関もみられた(R=0.47)ことから、地産地消の取組みがフードロスへの意識を高めているという可能性も考察されます。

3.その他の分析結果

■各項目の得点別回答数
  10段階別の回答件数

 

■各項目の関心と現状の差異

 

■項目別の関心度の高さ

 

 

■「瀬戸内食」の有無の認識別にみた食の取り組みへの関心と現状

  「瀬戸内食」が“ある”、“ない”の回答別に各項目の平均値を集計したもの